突然ですが、あなたはGK練習のメニュー構築に悩んでいませんか?

GKの練習メニューって、YouTubeなどで閲覧することができ、以前に比べどんなことをすればいいのかが分かるようになってきています。

ただそれと同時に、逆にどんなGK練習をすればいいのか迷う人が増えているのも事実。
というのも、YouTube上にアップされている練習メニューが、果たして自分の上達に役立つかどうかが分からないからです。

そこで、あなたに知っていただきたいのが、「普段GKコーチたちがどんな思考で練習メニューを作っているのか」ということ。
というのも、練習メニューが出来上がるに至る過程を知ることで、YouTubeに転がっている練習メニューの意図が分かるだけでなく、自分でも練習メニューを作れるようになるからです。

今回の記事ではそんな、GKコーチが練習メニューを組むときに、どんな思考を張り巡らせているのかをご紹介します。
これからあなたが新たな視点でGK練習を見れるようになると嬉しいです。

それではまいりましょう!




GKの練習メニューを作るときに押さえておきたい3つのポイント

ところで、あなたは普段どんな練習メニューを行なっていますか?
練習メニューの作り方や、メニューのルールについては人それぞれだと思います。

この章では、普段僕がGKの練習メニューを作るときに大切にしていることをお伝えいたします。
具体的なメニュー構築のやり方をお伝えする前に、色んな価値観があるということを知っていただければと思います。

 


●GK練習メニューを作る上で大切にしていること

  1. 技術や戦術だけでなく、メンタル的な部分も改善する
  2. 1セットあたりのプレー時間を10秒以内にする
  3. 目新しい用具よりも「何を身につけるか」を意識する

 

それぞれ解説いたします。

1.技術や戦術だけでなく、メンタル的な部分も改善する

GKの練習では、試合中さながらのメンタリティを求めることが必要です。
なぜなら、GKは試合中、あらゆるプレッシャーと向き合うため、メンタル的な屈強さが求められるからです。

分かりやすい事例として、GKが公式戦で簡単なボールをキャッチミスしたとしましょう。

本来であれば、キャッチミスをしたあと、すぐにメンタルを切り替えて、次のキャッチングを成功させる必要があります。
しかし、普段の練習の中で「ミスをしたあと、心をどう切り替えるか?」という部分を練習をしていなければ、試合でメンタルの切り替えができず、同じミスを繰り返してしまうことも考えられます。

GKの練習では、ただ技術を身につけるだけでなく、「ミスした後どう切り替えるか?」というメンタル的な部分まで練習する必要があるのです。

2. 1セットあたりのプレー時間を10秒以内にする

GKの練習にはたまに、ダラダラと何十本も連続でダイビングをし続けるようなトレーニングがありますよね。
しかし、僕はそのようなトレーニング方法はおすすめしません。
なぜなら、GKは試合中、何十本もダイビングし続ける状況がないからです。

そもそも、GKの試合中における出力の仕方は次の通りです。

フィールドプレーヤーの出力の仕方と比べると、その違いが一目瞭然ですね。
このように、フィールドプレーヤーが平均的にパワーを出し続ける反面、GKは爆発的なパワーをたまに出すのが一般的です。

すなわち、試合におけるGKのパフォーマンスを高めたければ、短時間で爆発的なパワーを出せるような「負荷・回数」で練習をする必要があるのです。

3.目新しい用具よりも「何を身につけるか」を意識する

YouTubeなどでGKの練習を見ていると、ボールが跳ね返るネットやダミー人形、壁などの目新しい用具を用いた派手な練習を見かけます。
確かに、目新しい用具が使えば、ワクワクしながら練習できるかもしれません。

しかし、先ほどもお伝えしたように、GK練習の目的は試合におけるパフォーマンスを高めるということ。
そのため、もし試合中のパフォーマンスを高められるのであれば、練習用具はマーカーやコーンだけでも十分なのです。

GKの練習メニュの作り方|試合から逆算してメニュー構築する3ステップ

GKに限らず、フィールドプレーヤーもそうですが、練習メニューは試合の逆算から構築します。
なぜなら、GK練習をする目的は、試合におけるパフォーマンスを高めることだからです。

ただ、試合からの逆算といっても、具体的にどのようにすればいいのでしょうか?

この章では、試合で何かミスをしたときを事例に、3ステップに分けて練習メニューの作り方を解説いたします。

 


●GKの練習メニューを作る3ステップ

  1. エラーが起こった状況を整理する
  2. ゴール前でGKが何をしていたかを把握する
  3. GKに必要な技術や戦術、それを支えるフィジカルをトレーニングする

 

順を追って解説いたします!

1.エラーが起こった状況を整理する

試合からの逆算でGKの練習メニューを構築するための、最初のステップは「エラーが起こった状況の整理」です。
例えば、簡単な事例として、試合における以下の失点パターンを挙げましょう。

●失点シーンの状況整理

  1. 自チームがブロックを組んでいたため、相手はサイドに展開した
  2. 相手のサイド選手はゴール前へのクロスを上げた
  3. 相手FWにヘディングでシュートをされて失点

 

このように、エラーが起こったポイントや、失点した状況を整理しておきましょう。

2.ゴール前でGKが何をしていたかを把握する

続いて、失点した状況をペナルティエリアやゴールエリアサイズで切り取り、GKが何をしていたのかを洗い出します。
今回の状況で言うと、次のようになります。

●失点時にGKがしていたこと

  1. クロスボールに対して飛び出した(ポジションは良かった)
  2. 途中でボールに触れないと判断し、焦ってゴールに戻った
  3. シュートを打たれる瞬間、準備ができておらずボールに反応できなかった

 

試合で起こった状況をより細かく切り取り、ゴールエリア・ペナルティエリアの中でGKが何をしていたのかを洗い出すと、今後どんな練習をするべきか見えてきましたね。

続いて、具体的にどんな練習を構築するのかを解説いたします。

3.GKに必要な技術や戦術、それを支えるフィジカルをトレーニングする

ここまでの内容を踏まえて、GKの練習メニューを作ります。
例えば、先ほどの失点時にGKがしていた行動ごとに、どんな練習をするべきかまとめていきます。

【現象1.】クロスボールへ飛び出したが、本来出るべきではなかった

実際にクロスボールを蹴ってもらい、出るか下がるかの判断を練習する(その際、「下がる」という選択肢が生まれるよう、ゴール前に相手FWを入れる)

 

【現象2.】ゴールラインまで下がろうとしたが、シュートが打たれる瞬間準備ができておらず、反応できなかった

「後ろに下がって構える→キャッチング、ダイビング」などの練習をする。(その際、後ろに下がるスピードを高めるためのフィジカルを重視したり、構えるときの重心移動の仕方を意識する)

 

このように、試合で起きたエラーを整理し、GKが何をしていたか・どうすれば良かったを追求すると、より試合に活かせる練習メニューが出来上がるでしょう。

 




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